2018年に好きになった音楽を全部書く

毎年大みそかに書いていた今年を振り返る記事ですが、年が明けてからになってしまった。
ちょっと間延びしてしまうけど、振り返ってみるかな。

…思い出せない…

(あまりに思い出せないので、ツイッターのログを取得して月ごとにまとめるサービスに登録した)

とりあえず、2018年の年始のツイートを確認したが、あんまり今と変わってないな。去年興味をもったことは今も引き続き興味を持っているし。
なので、2018年に摂取したエンタメについて記したいと思う。

2018年は、ヒップホップを聴き始め、それに伴いアメリカン・アフリカンの文化に興味を持った。

きっかけはブラックパンサーでした。映画館でブラックパンサーを観て、「めちゃかっこいいわあ」と感心していたのですが、後日、ブラックパンサー関連のツイートを読んだのです。
togetter.com
舞台のワガンダ王国をたたえるポーズ(腕を胸の前でクロスさせる)がアメリカン・アフリカンの若い人たちにはやっているっていうものなんですけど、なんだか急に、知識として知っていたアメリカの黒人奴隷の歴史と今がつながったような気持ちにさせられたのでした。架空の王国の儀礼をまねて自らの祖先の出自に思いをはせるほど、アフリカから連れてこられた人たちは、そのアイデンティティをめちゃくちゃに粉砕されたんだっていうことを。そんな歴史の上にこの文化が発展しているのかと。
そして、この映画の劇伴がケンドリック・ラマーだったんですよね。かっこいいよね。

ブラックパンサー ザ・アルバム [Explicit]

ブラックパンサー ザ・アルバム [Explicit]

この、ブラックパンサーの後ろに流れる80年代から今までにわたってヒップホップを通して受け継がれてきたメッセージについての記事で勉強…。
fusetter.com
そうこうしてたら、5月ごろ、Chilidish Gambinoの「This is America」が一気にシェアされて話題になりました。皆さん観ましたか?ショッキングなPVです。
www.youtube.com
この映像の解説がすごかった。この記事が一番読みごたえがありました。
fnmnl.tv
そして同時期にコーチェラのBeyoncéのステージが配信され、それもめちゃすごかったのだった。
(ほんとは動画を貼り付けたいのですが、いいのがなかった…ときどきYoutubeに配信されたフルバージョンが上がっているので機会があったら見てほしいです。)
www.cinra.net
パフォーマンスのすばらしさはもちろんですが、舞台で見せたすべてのものがメッセージになっているのがすごい。
ビヨンセは毎日6時間の練習をしてこの完璧すぎるステージを演じきったという…。そして、こんなに様々な謎めいたモチーフをちりばめられてしまうと、調べたくなるじゃないですか。記事の最後に、マイノリティがマジョリティに配慮しない、ということが書いてあったが、歴史に残るアクトを私も観たんだということに心が震えました。
それで、2016年にBeyoncéが出したアルバム LEMONADEを遅ればせながら買って聞き込み、事情も英語もわからないから日本語で書かれた解説を読んで、またそれを踏まえて聴いて、夜な夜な感動して泣いておりました。
miyearnzzlabo.com
ビヨンセほど美しく、清純で、才能がありまくりで、めっちゃ稼ぐ努力の人でもパートナーに裏切られとったんかーい!!というショッキングな個人的事実にオーバーラップさせて、どうして黒人女性が虐げられるのかという問題提起を曲中のマルコムXの演説をひいて投げかけ、それは黒人男性、ひいては黒人社会がアメリカでどのような位置にあるのかということに意識を向けさせ、『あっこれがThis is Americaってワケ?』となり、そして最後のFormationになだれ込むわけ。
www.youtube.com
shihowatanabe.hateblo.jp
こんな素晴らしすぎるエンタメを摂取しているのに、気が付いたら歴史を学び、啓発されているって、こんなことありますか?なんなんだ…ビヨンセが偉大過ぎる…
outception.hateblo.jp
そして、こういう記事を読むと、男社会もフェミニズムに呼応して変わっていってるんだと感じる。



このアルバムを100回くらい聞きなおしていたのが8月ごろだったのですが、その後9月以降の記憶がないですね。忙しすぎて。
ただ、夏頃からSpotifyに入っていろいろ聴いています。Apple musicでもよかったのですが、アプリの使い勝手が良くないのでこちらにしました。それから、テレビを買い替えてインターネットにつながるようにしたので、大画面でYoutubeAmazon PrimeNetflixが観られるように!!
Amazon Primeでは、さらに課金してこれを観ましたよ。

エピソード1

エピソード1

オリバー・ストーン・オン・プーチンの実際のドキュメンタリーです。で、これが観れたので、Netflixに切り替えました。
Netflixではこれを観ようと思って。
www.netflix.com
これもとても面白かったです。ユーモアあるんだけど、本当に起こっているだろう現実の不条理を浮かび上がらせている…この脚本、Childish Gambino= Donald Gloverが書いてるんだぜ??アメリカの星野源だぜ!
で、今はもっぱらQueenベストか(ボヘミアン・ラプソディを観てますます好きになった)、Anderson Paakを聴いています。めちゃかっこいい。
youtu.be
あと、このライブも観てくれ…!かっこよすぎるので…これをネットで流してくれるこの国なんなんだ…すごすぎる…
youtu.be

あと、Beyoncéをdigっていたら妹、Solangeの曲も素晴らしいことを知ったので皆も聴いてほしい。
www.youtube.com

この美しく静かな曲の背後にあるエピソードも胸を打つ。
wired.jp

ヒップホップだけでなく、黒人アーティストの曲が面白いのは、これまでずっと音楽を、差別され抑圧されていることを音楽を通じて明らかにし、訴え、昇華させる手段としているからで、今の危機的情勢に敏感に反応した名曲がどんどん出てきてまるでドキュメンタリーを観ているようだからだ。これまでもそうだったんだと思うけど、私にとっては対岸の火事ではないが全く興味が持てなかった。でも、グローバル化がすすんだからだろうか、昨今の偏見や差別に根付く問題が私の仕事上でも国内でもクローズアップされるようになり、まるで先輩の背中を追いかけるように、その状況を追いかけてしまう。
2018年はエンタメでいろいろ勉強させていただいた一年だったと思います。後半覚えてないしあっという間の一年だったけど、音楽の幅が広がったみたいです。すべてのアーティストに感謝…!

タロットの秘密

タロットの秘密 (講談社現代新書)

タロットの秘密 (講談社現代新書)

ゴールデンウィークに、へもいのみなさんと河原でピクニックをした時、しーなねこ氏がタロットカードを持ってきてくれまして、みんなでタロット占いをしました。
その時、タロットカードの本を読みながらみんなで占ったのがとても楽しく、タロットっていいな!と思ってカードと上の本を入手しました。
鏡リュウジ氏の本にしたのは、面白そうだったからだけでなく、GW後、鏡リュウジ氏と東畑開人氏の講演会を聴きに行くのでなにか著作を読んでおこうということで選びました。
こちらの本、3分の2はタロットカードの成り立ちですし、残りのカードの説明も、シンボルの歴史的背景なのでそこまでオカルトっぽくないです。むしろ学術的。
タロットカードの絵に採用されているモチーフのひとつひとつ、それこそ数字にまで意味があり、ヨーロッパの厚いサブカル文化の地層があるわけです。
購入後行った講演会は占星術精神分析のシリーズで「火星・怒り」というテーマでした。ギリシャ・ローマ時代の彫刻、ルネッサンス以降の絵画の中の怒りの表現の変遷など見せてもらったんですけど、やっぱりお約束があるみたい。
例えば怒り=マーズ=羊=サソリ…とか。日本では松と鶴はめでたいシンボル、というのとおなじですね。わかっているとさらに豊かなメッセージが読めるんですけど、知らないからピンとこない…。
タロットの表象もそうで、西洋の明文化されにくい文化を垣間見れてたのしいです。
あと、タロット発展に大きく貢献した薔薇十字団ていう結社が出てきて、「アッこれが薔薇十字探偵社の元ネタなのか!?」と興奮しました。