Web上の気になる記事・連載・ブログ

吉本隆明2008
http://www.1101.com/2008yoshimoto/index.html
この連載、読んだ?まるで未来を予言する長老のようだね。
2008年以降の日本や世界のことについて語っているのだが、ここで吉本隆明さんは、一部の人しか知らないような知識や難しい論理は使っていない。ふつうの会話レベルで話していて、時々分りやすいたとえ話を入れている。んで、読んでる側としては、「何となくそうかも、あたってるかも」って思う。

◆kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)
http://ameblo.jp/kyupin/
このブログも、ここ2、3ヶ月くらい、バックナンバーを含めて熟読しているブログ。この業界にかかわっていたのはもう3年も前で、縁あって離れた(ってへんな言い方だな)ので、部外者として気楽に読んでいる。なお、この分野の事情や基礎的知識がないとうまく読めないかもしれない。
他にも定期的に読んでいる精神科医のブログはいろいろあるよ。例えば「サイコドクターあばれ旅」。読み物として面白い。自分の専門知識を使って読み手を楽しませようとしている感じがする。それから、「Dr.林のこころと脳の相談室」。このインターネット上でこういうサイトを運営すると、たくさんメールが来てすごく大変だとおもうけど、この林先生は気持ち良いほど一貫した態度できっぱりばっさりコメントしておられる。提供される知識やその判断も勉強になるが、このきっぱり具合を見たくて足しげく通っている部分もある。
話は戻るけど、上に紹介したブログ。この人は、まあネット上だからわかんないけど、でも、上手いお医者さんなんだろーなー、と思う。
まず、文章が読みやすい。論理はしっかりしているけど、めちゃくちゃ難しいことが書いていない(ブログを読む際は症状や薬のある程度の知識が必要なのは先に述べたとおり)。きっと患者さんにもそう接しているんだと思うよ。
次に、見立てと薬がうまくて独創的(と思われる)。というのは、DSM*1を懐疑的に使っているところから。「前景に○○の症状が出ているが、これを取り除けば××だけが残るような気がする」など、あえて病名を二つ使って立体的に表現をしているときもあって面白い。
マニュアルは、どんな人でも一定の仕事ができるようになるために作られているもの。わけの分らない人をひとつのカテゴリに入れてしまうのは楽だ(私もそうしがちだけど…)。あとはそのカテゴリのマニュアルに沿った介入をしていけば良いんだから。
だけどこのDrは患者さん個々の状態を観察して介入方法を模索してる。徹底的に「対症療法」なんだな。その態度と、それをやれるだけの知識と経験があるのだ*2
そして、直感やオカルト、代替療法を否定していない。これが一番面白い。このDr自身は、かなり生物学的に患者さんを診る方だというのはブログを読めばすぐ分ることだけど、一方で自分に霊感(?)のようなものが備わっているらしく、臨床の場面でいろいろはたらいているらしい(あまり良い方向には働かないみたいだが)。まあ霊感は脇においとくとしても、直感が働く局面があるみたいで、それを否定せずに判断に用いるのが興味深い。私としては、その直感が働く前後の記述が一番面白い。読んでいて「へえ〜」となるのだ。
直感はそれまでの経験と知識と学習が瞬間的に判断に働く状態だよね。この人は科学的だとされるマニュアルやガイドラインだけでなく、自分の知識と経験も使って判断している。違う言い方をすると、柔軟で多面的に物事を見る人だともいえるのだけど、じゃあ、直感的思考と柔軟性は相関があるってこと?どうかな?
まあ、まとめると、書き手であるこのDrの熟練した観察・分析とその意思決定の仕方が面白くて読んでいるんだな。


熟練者の判断や意思決定に興味があります。

経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-

経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-


ウィッシュリストに入っている本。

*1:症状をチェックリスト的に並べて精神疾患の診断名をつける、スタンダードな診断の手引きです。

*2:何でも鉈でぶった切るか対象に合わせてナイフの種類を替えるか、と考えるとイメージが湧きやすいでしょうか。