ポー川のひかりを観に行った時のこと

今日はポー川のひかりを観に行った。14時30分の回。岩波ホール
岩波ホールは神保町にある。家から2時間くらいかかる。朝起きたらすでに11時で、「もう行くのやめようか・・・」とくじけそうになったけど、頑張って服を着替えて化粧をして、家を出たよ。
上映15分前について、チケットを買おうとしたら、「お客様で最後です」と言われた。ら、ラッキー!
岩波ホールというところに始めて入ったのだけど、お客さんのほとんどが60代以上で、びっくりした。この映画が枯れているのか?でも、私はInRedというファッション誌の映画批評でこの映画を知ったんだけど・・・。


ポー川のひかりは、宗教に絶望した世界的評価の高い哲学者が、中世から伝わる貴重な本を釘でめった刺しにして、失踪するところから始まる。
ポー川のほとりに朽ちた小屋があって、学者はそこに勝手に住み着く。ハンサムで、髪の毛とひげの感じがキリストに似てるので、村の人から「キリストさん」と呼ばれる様になる。
本の中に神の真理が書かれていて、その英知を手に入れようとする行為は尊いんだけども、手に入れるだけでは自分の中だけで完結してしまう。主人公はそこに絶望していた。村の人は肩を寄せ合い、豊かに生きていて、その暮らしに触れて主人公も笑顔を取り戻すようになる。
村の人の暮らしが本当によくて、いいなあ、としみじみした。
村の人がまるで告解するように、主人公の家に来て、聖書の家出した息子とその父の話を話してくれるように頼む。その村人は、自分の過去を思い出しながらその話を聞いて目を瞑る。何だかそのシーンは、胸に来るものがあった。涙が出た。
この映画は、どのシーンもなんだかいいんだなあ。画がいいんだとおもう。静かで、深い。

帰りの電車でいろいろ考えてしまった。研究とか、仕事とか、人生とかさ。
家に帰ったら母が「うなぎ食べに行こう!」とうなぎ屋さんに連れて行ってくれた。美味しくて香ばしいうなぎをほおばりながら、見たばかりの映画のあらすじと、感想、それから、考えたことをぽつぽつと話してみた。
言葉に出してみたら、びっくりするほど胸に重たく感じた。母はいろいろ力づけてくれようとするんだけど、そうなってしまうともう、申し訳ないが話が続かなくなる。「なんか、私、落ち込んでるみたい?」と、軽く口に出してみたら、これまた逆効果で、ますますうっときてしまった。こりゃいかんと思い、最高に美味しいうなぎで口の中を満たそうとほおばったら、ご飯粒が気管に入りそうになって、むせてしまった。
そういえば、親にこういう話をしようとしたのは何年ぶりだろうか。いつの間に気軽に話さなくなってしまったんだろうか。


映画の話が親子関係の話になってしまったが、うちはたぶん、ふつうの関係だと思います。
親に心配をかけないようにするのは、大人な証拠ってことかな!!
今日は逆に心配をかけたけど…。
あと、うなぎに罪はないよ!
ポー川のひかりはとても素敵な映画だよ!!!