危険なメソッドを観に行った時のこと


先日、しーなねこ氏とイガラシイッセイ氏とともに、「危険なメソッド」という映画を観に行きました。
危険なメソッド 公式サイト: http://dangerousmethod-movie.com/index.html


この映画は、精神分析学の創始者フロイト、分析心理学の創始者ユング、そしてユングフロイトの元クライアントで児童精神分析学者のザビーナ・シュピールラインの3人が出てきます。
私は心理学を勉強してきた身ではありますが、精神分析学とか分析心理学は、もうだいぶん前に勉強するのをあきらめていて、恥ずかしながらここで語れるほどの興味も知識もありません。
しかしなぜこの映画を観たくなったのかというと、最近大注目の俳優、マイケル・ファスベンダーがユング役で出演しているからです。

(ほんとかっこいいです。)
あと、主役の一人のキーラ・ナイトレイも好きな俳優のひとりです。彼女は歴史物の映画が良く似合うと思います。


そんなミーハーな動機で観に行く私とは対照的に、しーなねこ氏はフロイトの「精神分析学入門」などを読んだことがあっての興味という、至極まっとうな理由でした。
イガラシイッセイ氏は、前日にしーなねこ氏に声をかけられたらしく、映画のことは


このくらいの事前の知識で参加してくれたのでした。

【以下ネタばれを含みます】


しーなねこ氏も自身のブログで書いているとおり、映画は淡々としていて難解であるうえ、一番しっかりとセリフを聴いておきたかったシーンで、私の隣に座ったおっさんが、高々といびきをかいてくれたものだから、もうわけがわからなくなったのでした。
結局覚えていることは、キーラナイトレイとマイケルファスベンダーのスパンキング・プレイという、心理学徒としては最低の感想しか書けません。


まあそれは冗談として、臨床におけるクライアントと治療者の関係っていうのは、今も昔もとても危ういっていうことが良くわかりました。クライアントを愛人にしちゃうとか、今だったら絶対あり得ないことなんですけど(隠れて関係を結んでる人はいるんだろうと思いますが)、それは倫理的にどうとかもありますが、そういう関係を結ぶとほんとにややっこしくなるんだな…ということが画面を通じてよーく分かりました。先人たちの失敗を我々があえてすることはないわけです。
あと、ユングの奥さんが賢くて金持ちで頭が上がらず、ユングはクライアントの女性になびいてしまった、ということは全く知りませんでした。
ユングは結構なダメ男で、むしろきっぱりと別れを決意したザビーナの強さにぐっときました。そのエピソードとは、一度別れた二人ですが、医学生であったザビーナと彼女の論文を指導する立場になったユングは、結局また肉体関係を持ってしまいます。再開してしまった二人の関係を後悔したザビーナが、論文を書き上げたら街を出ると言ったのですが、そのときのユングのめそめそした態度にいらっときました。ええ、いらいらさせるマイケルファスベンダーの演技は素晴らしかったと思います。


感想を話しながら歩いた帰り道で、しーなさんが「ぼくはユングフロイトも、もっとマジキチな人たちだと思ってました」「フロイトはガチホモで、ユングとそういう関係になってたんじゃないんですか?」などと偏ったこと言うので、なんでそんなイメージになったのかたずねてみると、どうやら精神分析学とフロイトについて書かれた本を読んでそのようなイメージを持ったそうです。
こりゃ、絶対、フロイトユングのBL二次創作本を読んだな…と思ってたのですが、そうではなかったようです。


しーなさん、今度この二次創作本を読ませてください。
ということで、静謐で格調高く、美男美女が出てくる「危険なメソッド」という映画はとてもおススメです。ぜひご覧ください。