プロフェッショナル・仕事の流儀

■NHK プロフェッショナル・仕事の流儀
プロジェクトX後の番組だと思う。株価が1万6千円以上となった最近、過去を振り返るプロジェクトXが終わり、現役の仕事人たちに焦点を当てる番組が始まったのは、なんとも象徴的。
それはともかく、今日の放送は、「”信じる力が人を動かす”リゾート再生請負人・星野佳路」だった。自分の実家のホテルを再生させたことから注目され、さまざまなリゾート、ホテル、旅館の経営を立て直してまわっているという人。
その独特な手法が紹介されていた。とても興味深いと思った点が2つ。
ヒエラルキーの組織をやめ、フラットな形にした:星野氏はもともと、家業をついですぐは強権を振るっていたらしいが、それに反発した古株役員が次々と辞めてしまい、若くて経験の少ない社員が残った。トップダウン的意思決定をやめ、役割ごとに10名前後のユニットを組ませ、そのユニットの中から自己推薦でディレクターを選出。ユニット単位で業務にあたる。これまで役員会で決めていた経営方針を、各ユニットが集まった大会議(非ディレクターが出席してもよい)で決定するようにした。
社長が決定しない:大会議での星野氏の口癖「どうしますか」。社長が決定するのではなく、関係ユニットの担当者が意見を出し合い、議論し尽くす。時間はかかるが、自分たちで決定したことなので、それぞれ納得して進められる。
先に②だが、この星野氏の「どうしますか」は、現在私が行っている高齢者のグループワーク、ファシリテーターの役割に非常に近いものを感じる。ファシリテーターはグループを仕切って指導するのではなく、促進させる役割をもつ。具体的には、相手の話をよく聴く。ファシリテーターが決めるのではなく、相手に決めさせる。ファシリテーターは大きな方針からだけは逸れないような態度を取る(筋は通す)etc・・・。そうすることによって、ファシリテーターに依存的でなくなり、メンバーとグループ自体がとても自立したものになるんですね。この大会議での星野氏の態度によって、社員が責任を持って意見し、議論し、決定し、遂行する。とてもモチベーション高く仕事が出来る。私の中では研究テーマと新しいリーダーの態度(のひとつ)が少し交差した瞬間です。(ていうか、ファシリテーターって、ビジネスの世界でもあるんだよね。いつか本を読んでみよう。いつか。)
続いて①.「若くて経験の少ない社員が残った」というくだり。これももうひとつの研究テーマなのだが、現代の特養ホームの組織にとても似ていると思う。特養ホームも、職員の多くが20代で、離職が激しい。また、ヒエラルキー的な組織ではなく、施設長以下の役職が少なく、すぐに介護スタッフにいたる。ホテル業も介護分野もともにヒューマンサービスである。まあ、介護職はオールラウンドプレイヤーなので(専門的であり、一般的な職種にくらべて裁量性が高い)、役割ごとのユニットでは組まないという違いがあるし、シフトで働くので、同じユニット間のコミュニケーションが取りにくいという部分も違う。しかし、このユニット単位で動くというやり方、内容をもっと知りたいと思った。
この星野氏は、社長室を持たない。空いた部屋、空いた机からLANを引っ張ってきて、ノートPCを使って会社では仕事をするそうだ。そういえば、まえにWBS(テレビ東京)で、新しくオフィスを構える(改築する)企業は、個別のデスクを用意しなくなった、という話題があった。今後はそういうやり方がはやるんだろうな。
最近、「組織」というものについてとても興味があるYO!。