太陽を観たときのこと

太陽を観よう、と思って早3年。先日ようやくDVDを借りて観た。行動遅すぎ!

太陽 [DVD]

太陽 [DVD]


イッセー尾形昭和天皇を演じている。
ああ、昭和天皇って、私が生まれたときはもうすでにおじいさんだったけど、確かにこんな感じだったなあと思い出しながら観ていた。

玉音放送までの、ほんの数日前ではないだろうか。
地下の防空壕で息を潜めて暮らす昭和天皇
有事でも、執事達は一番いい格好で天皇の身の回りを世話する。
周りの人たちは「お上は天孫です」とかしづく。
海洋生物を研究する科学者でもある天皇は「私の身体はあなた達とほとんど同じだ」という。
進駐軍の管理下に置かれた皇居。
アメリカの記者たちが「チャップリンだ」と言って天皇の写真を撮る。
疎開先から戻ってきた香淳皇后と抱き合う天皇。
「私はやったよ」「宣言した」「あ、そう。」「でも、何か不都合でもあって?」「いや、やっぱりよくないでしょう」
広間で待つ子ども達に会う前、天皇は執事に玉音放送を録音した青年技師の消息を尋ねる。
技師は死んだという。
「周りのものは止めたのか?」「いいえ」
そのやり取りを厳しい顔で聞いた香淳皇后は天皇の腕を引っ張って、広間へと急がせる。


国家の責任者でありながら、多くの人間を死なせたのに、完全に憎めない、冷徹に責任を追及できないのは何故なんだろうか?


以前、とあるおばあさんと話したときのことを思い出した。
「このあいだね、皇太子の乗った車を見たのよ」
「へえ!どうでした?見えました?」
「通りで騒ぐ人たちに、丁寧に手を振ってたわよー」
「そうなんだー、いい人ですねー」
「そりゃそうよ、あの人はいい人に囲まれて生きてるんだもん、いい人じゃなきゃおかしいわよ」


この映画はこうあって欲しかった、と思う昭和天皇像。
「無垢な」「受身の」といった言葉が似合う…。


夏になると、テレビの露出が増える昭和天皇
亡くなった祖父は、テレビに映る天皇陛下の方に足を投げ出して観ていた私を優しく叱ったものだった。


3年前に買った本はまだ上巻しか読んでない。
もうすぐ終戦記念日だし、下巻を引っ張り出して読んでみようかなあ。

昭和天皇(下) (講談社学術文庫)

昭和天皇(下) (講談社学術文庫)